こんにちは、ことらです。
精神的な病気の旦那さんや奥さん、大切なパートナーを支えること、「ケア」することの難しさを感じることはありませんか?
我が家も旦那さんの心のケアについては、現在でも試行錯誤で行っています。
私の声掛けが、果たして本人に届いているのか?
もしかしたら、私の声掛けがプレッシャーに感じて、余計調子を悪くしているのではないか?
当事者ではなく、ケアする側の心得というものがあったらいいのに・・・と思っていたところ、先日臨床心理士の東畑開人さんのインタビュー記事を読みました。
ケアする側の心得や、いくつかの悩みについて詳しく説明されていたので、とても参考になりました。
今回のブログは、そのインタビュー記事を元に私の経験を交えて紹介します。
パートナーは「わからない人」⁈
精神的な病気を患ってしまった人、つまりは心を病んだ人というのは、健常者にとってみると「わからない人」になってしまったということです。
今まではあんなに笑っていたのに、行動力があったのに、おしゃべりだったのに・・・。
今まで自分が見てきたのと全然違う人になってしまうということですね。
私は旦那さんに出会ったときには、すでに病気を抱えていたので「わからない人」になってしまったという体験はありません。
しかし、調子の悪い時に布団から出れない、外に出れない、イライラが止まらないなど、普段とは違う状態になることはあります。
やっぱりその時は私にとって、旦那さんは「わからいない人」になってしまっています。
わからない人になってしまったパートナーをケアしていく私たちは、どのようなことを気をつけていくべきなのでしょうか?
「ケア」と「セラピー」について
まず、『ケア』とは当事者のニーズを満たすこと。日常の決まりごとに対処すること。傷つけないこと。
一方、『セラピー』とは、手術や薬を使わずに体や心の不調を治すこと。心の課題に取り組むこと。傷つきに向き合うこと。
私たちはセラピーではなく、ケアをすることが大事です。
それは、病気で苦しむ当事者の欲求や要求を満たすことを考えていくことなので、当事者の傷つきに向き合うことではないのです。
私も旦那さんの辛さを共に向き合おうとする時があります。
でも、それはあまりにも難しいことです。だって、その傷を私たちは体験していないのだから。
そうすると、向き合うことはやはり難しくなって、段々と心の距離も出てきます。
私たちが行うことは「ケア」をすること。それを忘れてはいけませんよね。
そして、ケアすることは「技術」ではありません。「理解」していくことです。
どんなに大切なパートナーでも、病気を理解することは難しいことです。それは私たちにとって「わからない人」となったパートナーの心だから。
そんな時はやはり心の理解に詳しい専門家にゆだねるのが良いです。つまり、専門家を使っていくという考えを持つことは重要です。
ケアする側の心得の実践方法
ケアする側の心得としての具体的な実践方法は2つあります。
- 知ること
- お手伝い
この2つを実践していくことが重要です。
1.知ることは心の病気について学ぶことです。
本やネットで調べたり、家族会などで他の人の経験談を聞くことも大きな学びとなります。
2.当事者気持ちが大きく落ちているときは周りが信用できずに、「敵」にしか見えない時があります。
「私はあなたの味方だよ」と言っても、本人の心に届かないことがあります。
その時は具体的に困っていること(掃除、料理など)を手伝うようにしましょう。
そして、困ったことというのは日常生活だけではありません。
先日、旦那さんに久しぶりの大きな気持ちの落ち込みがありました。
当初はイライラで話すのも気が引けたのですが、「何かしたいことある?」と聞いたところ、「神社にお参りに行きたい」と言ってきたのです。
毎年旦那さんが初詣に行っている神社に今年はまだ行っていなかったので、その神社に行くことにしました。
すると、行きの車の中で旦那さんは穏やかになってきたのです。
神社についてお参りをして、帰りにはすっかり気持ちは戻っていました。
「神社に行きたいと言って、嫌な顔せずに一緒に来てくれたことが嬉しかった。」と、帰りの車で言われました。
コロナでなかなか外に出られず、友達とも会えず、暗いニュースばかり。
神社に行きたいと思ったけれど一人で行くのは気が引けていたので、一緒に行ってくれたことがとても嬉しかったと言うのです。
そうなんです。これも「困ったこと」の手助けとなるのです。
私たちケアする側は、「知ること」と「お手伝い」をするということが重要です。
そして、「理解してくれる」という信頼があれば、パートナーも私たちの声に耳を傾けてくれます。
「治ってほしい」という思いは、いけないの?
大切なパートナーが精神的な病気を抱えた時、以前と違う本人を見て「治ってほしい」と思うことは当たり前のことです。
その思いを強く思うことは支える側の善意の思いでもあるので、この思いには問題はありません。
でも、当事者が治そう・治したいという思いに至っていない時期もあります。
そいういうときに周囲が焦ってしまうのは良くありません。
また、「治る」というのはどういう状態になることなのか、ということを理解していないと、以前のような状態や早期に治ることを期待して要求してしまいます。
治る、つまり治癒するという状態は、本人が現実と折り合いをつけれるようになることです。
そのために必要なこと。それが本人の理解を助けていくための「周囲の理解」なのです。
周囲の理解というのは、当事者の「わからなくなった心」というものに理解をすること。
自分が周りから理解されていると思える環境の中であれば、多少の不具合が続いていても本人は何とか生活して、時には楽しんだりもしていけます。
近しい人が理解してくれるという状況こそが、当事者にとっての「健康である」ということです。
健康は本人の内側でのみ達成することではありません。
理解してくれる人が周りにいるかどうか、という「外側」で成り立つ部分も大きいのです。
治ってほしいという私たちの思いは、周囲の理解という支えによって実現へと近づくのです。
受診の際は付き添った方がいい?
毎回一緒に受診する必要はないと思います。
しかし、本人が混乱しているときは付き添った方がいいでしょう。
また、受診に付き添ったことが一度もないのであれば、一度は一緒に受診するのが良いです。
病気を抱えている当事者は自分を責めてしまいがちです。
「ここは隠して自分を保とう」とカッコつけようとします。
そうすると、正直に症状や状況を伝えないことがあるので、適切なアドバイスや薬の処方ができなくなります。
それでは、状態が良くなることからは遠のいてしまします。
これは私も経験があるのですが、結婚当初に何度か旦那さんの付き添いで病院に行きましたが、何年通っていても主治医に伝えていないことがあったのです。
本人も忘れていたり、別に伝えなくてもいいやと思ったりしていたようですが、どんな小さなことや言いづらいことも主治医に伝えてみると、先生もメモをとることがありました。
もしかしたら伝えていなかった中に、何か病気に繋がるヒントがあったのかもしれません。
やはり一人で行くと隠してしまう、言わなかったりすることは大いに考えられます。
きちんと現在の症状や状況を伝えているのか、主治医の対応はどのようなのかということをケアする側も把握しておく必要があります。
どのようにケアをしていけばいいの?
専門家ではない私たちは、当事者にどのようにケアをしていけばよいのか?
症状が重い時期は、専門家の言葉でも当事者にはなかなか届きません。
なので、私たちの言葉がパートナーに届いていないこともあります。
本人とのコミュニケーションは難しいこともありますが、常に丁寧にを心掛けていきましょう。
しかし、上手くいくことばかりではありません。時には失敗することもありますが、「失敗しても、やり直せばいい」という気持ちの切り替えも大事です。
心の病は時間が治していきます。
でも、心の病は当事者の時間を止めることもあります。
- 1年前の状態と昨日の状態はほぼ変わらない。
- 過去の経験がフラッシュバックして、今を覆す。
以前と変わらない、動かない状況を少しづつ動かしていくのは、理解してくれる人とのコミュニケーションです。
ケアが長期化して、正直しんどい
心の病は個人差はありますが、やはり時間がかかります。
ケアする側にとっては「ゴールの見えないマラソン」と感じる場合があるかもしれません。
しかし、この「ゴールの見えないマラソン」と感じることが、ケア側も鬱っぽい状態にあるということです。
正直、ケアする側は孤独になりやすいです。
相手は病気なのだからと、怒りを押し殺したり、大丈夫なふりをしていませんか?
この状態は我慢の状態。いつか我慢の限界で気持ちが溢れてしまいます。
これではケアする側も健康ではいられなくなる。共倒れになってしまいます。
私も実際、過呼吸になったり、大きな気持ちの落ち込みを経験してきました。
それはやっぱり自分が我慢するしかないという思いが大きかったからでしょう。
でも、必要なのは我慢ではないんです。
ムカついたら声に出したり、飲み語らうのも必要です。
そのためには、とにかく自分たちに関わる人を増やしたり、依存先を増やすこと。
自分以外の周り、例えば兄弟や友達など、自分以外にもケアしてくれるような存在を作っていくこと。
家族の病気のこと、プライベートなことなので、自分たちだけで解決しようとしがちですが、周りの助けは必ず必要になります。
身近に理解してくれる人がいない場合は、本人と一緒にカウンセリングに行くことや、同じ病気を抱える家族会や患者会に行くこともおすすめです。
パートナーを支えるあなたへ
個人個人で病状が異なりますので、今回のケアの心得についてはすべての人に当てはまるわけではありません。
しかし今回の記事が、あなたにとって不安なケアのヒントや励みとなれば嬉しいです。
私もまだまだケアは試行錯誤ですが、一緒にパートナーのケアを頑張っていきましょうね!
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パーソナリティー障害の旦那さんと39歳で結婚した主婦の私がどうしてブログを始めたのか?
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